春夏映画まとめの続きです。
パリは以前も何度も書き映画まとめにも何度も載せているように、しょっちゅう小津安二郎作品、溝口作品、黒澤明作品、、、と同じ映画が上映され、スクリーンで今だに観ることが出来ます。それだけフランス人のシネフィルにはファンが多いということなのでしょう。 私は今回はスケジュールが合わず、秋刀魚の味と秋日和の二作品をまた観ました。 18世紀にフランケンシュタインの物語を書いた18歳のマリーシェリの物語は、何気無く実話みたいだから観てみるか、、と期待せずに観たのですが18世紀の文学や詩を書く人達の様子が描かれていて、ちょうど同じ時代の本(ジョルジュサンドとミュッセ)を読んでいた時だったので映画の中にどっぷり入り込んでいました。2つの本に出てくる詩人のバイロン男爵が出てくるシンクロにドキドキして興味深い映画でした。 当時、女が本を書くなど、認められることが無い時代。サンドもそうですが、それを乗り越えて書き続ける気力というのは尋常ではないエネルギーが必要だったでしょう。 歴史をこんな風に学ぶと、同じ時代で繋がって面白いですね。 アンドレ タルコヴスキのノスタルジアは、独特の世界観ある映像をまた観たいと思っていたので休日の上映を見つけて迷わず観に行きました。 エコロジーや無農薬に関わる人達のドキュメンタリーフィルムは、今出来る事を考えさせられる映画でした。 映画の中で無農薬の野菜を作って活動を始めた若者と話す、少し前までエコロジー大臣だったニコラ ユロが登場するのですが、このニコラ ユロ氏は元からエコロジストでマクロン大統領がニコラ ユロ氏をエコロジー大臣に抜擢したのを私は凄く評価して、ニコラ ユロ氏を影ながら応援していたのです。 が、つい先日、自分が居ることでエコロジーの活動が進んでいるように国民に思わせるような嘘はつけない!と自ら辞任してしまいました。ショックでした。 ユロ氏を生かしきれなかった政府、政治家の世界に腹が立ち、政治の悪い部分に染まらず飛び出したユロ氏を、やっぱりこの人らしいな、とあらためて素晴らしいと認識した出来事でした。 マイナーな映画として短い上映でしたが、マグダラのマリアとキリストを描いたマリーマドレーヌは私の中ではこの春夏の上位に入る作品でした。 今の神としてのキリストではなくて、2000年前にひとりの人間として生きていたキリストを描いた作品。 人間だったキリストが政治家の様に自論を主張してカリスマ的存在になって行く様子は、本当に当時こんな風だったのかもしれない、、と思わせられる凄さで、キリストが生きていた時代に自分が一瞬、一緒に居たような錯覚に陥るほど。 私はクリスチャンではありませんけれど、ヨーロッパに居ると絵画でも文学でも文化ひとつひとつに、生活の中や会話の中にキリスト教が絡み、存在の大きさに関わらずには居られないと思わせられます。 新作で観なかった映画は沢山あった春夏でしたが、日々、そしてヴァカンス中と、本を思い切り読めたので、満足です。 秋冬は、映画の二時間を取るか、本を読むか、、、ますます難しい季節ですが、どちらも良い出会いがありますように。
by 40ansparis
| 2018-09-22 05:46
| cinema
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Comments(7)
おおっ~、沢山楽しまれましたね。私が観たものもいくつかあって感激です♪ Marie Madeleine、気になります。様々な映画での彼女のイメージはそれこそ色々。こちらはどのように捉えたのか興味深々。
確かに宗教は日々の文化と大きくつながっているのですよね。 映画か読書か、難しい選択だわ 笑。
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akicosmosA at 2018-09-23 02:46
やはり観てますねえ。
北野監督の*あの夏一番静かな海* 懐かしいですが、私も好きな作品です。 もう一度観たくなりました。 小津作品は今ならさらにわかる心情、もろもろ~。こちらも秋の夜長に小津作品の2時間の映画の旅してみたくなりました。 何しろ言葉が美しい。 いい作品とご紹介にあった邦画の追憶、ケーブルテレビでもうすぐ又放映するので見逃さないように楽しみにしてるんですよ。最近映画のことを書いてなくて・・。 いろいろ観てるので又書きたくなりました。
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akicosmosA at 2018-09-23 02:56
勝手にしやがれのジンセバーグキュートでしたね。
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40ansparis at 2018-09-23 05:29
Cecileさん、いやあ、パリは私が観た量の10倍は上映されているので、自分ではこの春夏は全然観る事が出来なかったシーズンでしたよ。自分で本の方を選んだのですから自業自得ですけどね。
マグダラのマリアを描いているとは言え、キリストに師事して旅に同行するたった一人の女性として描いてあり、マリーマドレーヌもキリストもどちらも主役と感じるくらいに同じ目線で描かれていました。淡々と、でもじわじわ少しずつ、キリストの発言が行動がカリスマ化して行く様子は、凄く説得力ある描き方でしたよ。リアリティがある、とは言ってもキリストの居た頃を知る者は居ない訳で何がリアルか、と言われそうですが、、、作り物っぽさが無かったのです。Cecileさんが観れる機会があると良いのだけど、、、。 二時間を取られる映画は、観に行こうと出かけても気が変わって、カフェに入り結局本を読んでいたりして、、、本当に限られた時間をどちらに費やすか、、、難しいんですよねえ。
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40ansparis at 2018-09-23 05:35
こすもすさん、また映画の話、書いて下さいね。日本で上映されていてパリで上映されていない映画がたまにあるので興味深いのです。
ジーンセバーグ、ベリーショートで今なら私もはっきりと分かるアメリカ訛りのフランス語がまたキュートです。 小津映画は、仰るように言葉遣いが綺麗ですし、俳優さん女優さんの所作なども美しくて日本語を聞きながら唸りますね。 フランス人にもかなり人気はありますが、日本語で理解して聞いていない限りは用心棒でも小津映画でも同じフランス語の字幕になってしまいますから、日本人で良かったと観ながら思いますよ。
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marucox0326 at 2018-09-24 10:55
こんにちわ。
「君の名前で僕を呼んで」とチャーチルの映画については アマゾンのウォッチリストに入れたままになっています^^; 前編) アーロン・エッカート、役によって変貌する俳優です。 邦題「幸せのレシピ」はドイツ版が凄く好きなので、 映画としてはそちらに軍配を上げますが、彼は凄くカッコよくて。 この映画と「エリン・ブロコビッチ」のA・エッカート惚れちゃってます^^; 北野作品は御地では神なんでしょうけど、私は好きな作品は少ないです 「あの夏・・・・」良かったですか? 後編) 新作は日本でまだのものが多いですが、「マリーシェリ」は見たいですね、 エル・ファニング売れっ子で、アイドルからの脱皮というか最近時代物が多いですね。 P・アンダーソン監督は好きなんで「ファントム・スレッド」見逃しています。 ダニエル・デイ・ルイスまだまだやれると思うのに引退残念です。 アンダーソン作品やスコセッシ作品に出ている、美しくない役の方の彼が好きでした。 「マリー・マドレーヌ」これも是非映画館で見たいです。 主演の二人が好きなんですが、 調べたらキウェテル・イジョフォー(Chiwetel Ejiofor)も出ているのですね。 好きなんです彼も。 仰るように欧米の文化や芸術、その背景にあるキリスト教を理解していないと 作品の深い意味が理解できないとよく言われますね。 仏教ですらわかっていないのに、恥ずかしながら上っ面しか見ていないのかもしれません。
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40ansparis at 2018-09-24 18:57
marucox0326さん、君の名前で、、は始まりの一瞬から大好きです。物語は言ってしまえばゲイの二人の恋愛なのですが、観たらもうそんな背景はどうでも良くなってしまうくらいに引き込まれてじんわり来ます。それは誰しもが経験する初恋の感情と不器用さを観るからでしょうか。それと音楽のセレクトも凄く良いのです。サントラを聴きたくなってしまうほど。イタリアのヴァカンス地の雰囲気も魅力的。ともかく観て頂いたら、と思いますよ。
アーロン エッカート!そこに注目して下さいましたか!嬉しいです。いかにもハリウッドと言う映画はあまり観ないので俳優名はあまり知らないのですが、彼は息が長くて私にとってはジョージクルーニーよりもハリウッドの正統派二枚目に見えます。トムハンクスの映画っ最近見て嬉しくなりました。この映画、ドイツ映画のリメイクだと言うのは知っていたのですが、フランスさえ情報が無くてそちらは見ていません。10年ぶりくらいに観ました。 キタノ作品は好き好きありますよね。欧米の映画に見慣れてきて久しぶりに観るとやはりミニマリスト、日本人の映画だなあ、と凄く感じます。 ダニエル デイ ルイズもロバート レッド フォードも引退宣言してしまい、新作でお目にかかる事はもう無いのかと思うと寂しいですね。 marucox さんは私なんかよりずっと詳しくていらっしゃるから、一本ずつ感想を書いてもっとお話ししたいくらいですが、、自分の記録用にて解説が足りなくてすみません。
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