4月になる前に、秋冬2月までの本まとめです。自分の記録用、長くなります。
友人が今年は、本を読む女性の絵画だけを集めたカレンダーを送ってくれました。 本屋でいつも気になり手にとってしまうのが"Prix de lecteurs "(読者賞)の赤いシールのついた本。毎シーズン何かしら読んでいます。 毎回少しずつ読んでいるアンドレ マッキン氏は家系がロシアオリジンの作家。 どの本も200ページを越えない比較的薄めの本、でもボキャブラリーは難しめ、なのに心を揺さぶる感動的な話や実話、とても好きな作家。 私は密かに、次にフランス人作家がノーベル文学賞を獲るとしたら、ひょっとしたらこの方かな、、とまで思っています。 ここ2年ほどポール ヴァレリーから離れられなくて読んでいます。今回は、人生後半に存在していた女性の事を中心にしたビオクラフィを。 彼女(実は男性名に変えて書いていた)に宛てた手紙の文章、詩が美しいのです。 私の好きな"密かな愛"が描かれているこの本、今シーズンのcoup de cœur (心を打たれたお気に入り)の一冊です。 猫語の教科書は、かなり前から読みたくていて、やっと手に入れました。 猫が話したら、きっと、いえ間違いなくこんな風に一日を過ごし、住人を観察し、独り言を言っているに違いありません。 ちくま文庫は他の出版社の一般の文庫とは別格で、そのセレクションがややマニアックで視点が独特、私にとっては読みたい本ばかりラインナップされている気になる文庫シリーズです。 他にも三島由紀夫がフランス人文豪作家をバッサリ斬って分析した供述を集めた本も興味深く読みました。 これだけのフランスの文豪達の本を殆ど全て読んでいた量と鋭い分析に驚愕、、、。 アルケミストが有名過ぎるパウロコエルロの新文庫はロシア、ドイツの元スパイという容疑でパリで死刑にかけられた19世紀の踊り子マタハリの半生を描いた本。 シンプルな読みやすい文章で書かれていて読みやすく、引きこまれて直ぐに読めてしまったのですが、流石ストーリーテラーのパウロコエルロ、面白かったです。 デュラスのl'amant は、日仏語で何度も読んでいるのだけど、ノエルに新しいミニュイ版を頂いたので再読。 潔くシンプルな文章、やはり好きなのです。 何年か前に新聞の書評で読んで気になっていたのだけれど、作家名とタイトルをメモしたのを紛失、やっと本屋で偶然見つけたElif Shafakはトルコ人作家。 12世紀の詩人とコーランの教えを練り込んだ小説。 中には仏教にも似たフィロソフィーが書かれたフレーズがあったので、また別に紹介したいと思います。 カミュは、フランス語で再読してから好きになりました。 ノエル前にカミュと愛人の書簡集が出版になり、本屋でよくコーナーを特集していたので読んでいなかった短編集を読んでみました。 人間への洞察力が鋭く、アルジェリア出身のカミュらしく必ず地中海の太陽や海への表現がフレーズに現れます。 フランスに住んで直ぐにファンになった、当時金曜日の夜に放送していた文学番組アポストロフ。 今よりフランス語の理解力が無かったのに、毎週楽しみで、何より司会のベルナール ピヴォ氏に魅了されましたが、いつしか番組は無くなり、今はスタイルを引き継いだ文学番組Grand Livrairie がありますが、私はアポストロフが恋しくてたまりません。 古本屋でピヴォ氏のインタビュー本を見つけて番組制作の舞台裏を知ることが出来ました。 歴史小説コーナーで以前から気になっていたJouJouは、18世紀半ばのロシア系ポローニアの伯爵夫人の三人目の息子Josephの実話。 大人になっても1mにも満たない小人のジョゼフ、実の母は小さいうちにこの息子を恥と、リッチな伯爵家へ売る。その事が彼の心を一生傷つけるのだけれど、彼は独自のチャーミングさで周囲から愛され、ヴァイオリンのコンサートをしたり、女性との恋を楽しみ98歳まで生きる。当時小人は20歳は越えられない短命だったにも関わらず。 もう数ページで読み終えるこの本も今シーズンのcoup de cœur の一冊です。 春夏はまた感動する本に出会いたいものです。
by 40ansparis
| 2018-03-12 18:56
| 本 livre
|
Comments(10)
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whitelacenonyo at 2018-03-12 22:13
ラパンさんの大きな魅力は
大人の振る舞い、考え方、、はこのような 読書の分野や数の多さからなのですね。 なるほど、、と納得です。 三島由紀夫のフランス文学講座、鹿島茂氏は フランスを訪れると必ず多くの古書を買い込み バゲッジ重量がオーバーとなりそれでも日本に持ち帰る、、 書斎は傾くほど、、と エッセーに書いており大ファンです。 で、、そういえば最近、鹿島茂著を読んでいないので 読みたくなりました。
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40ansparis at 2018-03-13 04:43
whiteさん、毎回お褒め頂いて恐縮です。でも、読んでいるフランス人に比べたら、私の読書量は少ないと思います。フランス語だと日本語よりどうしても読むスピードも遅くなりますし、仕事量やシーズンにもよりますね。私の場合は、本をゆっくり読む時間が取れない日が続いていくとストレスです。本があるからこそ、バタバタした時期も自分に元気をチャージ出来ます。
この冬、特に年が明けてからは調子が今ひとつだったので映画より本に癒してもらいましたよ。この三島由紀夫がフランス文学を語る本は鹿島氏が様々な三島由紀夫の批評を一冊の本にまとめ上げたもので、そのエネルギーもあっぱれです。三島由紀夫がこんなに多くのフランス文学を読んでいた事にも驚きました。書評のプロも顔負けの素晴らしい作家分析と批評なのです。
おおっ、ラパンさん、流石の読書量。素晴らしいです~。
バラエティに富んでいるというのも魅力ね。 鹿島茂氏の「フランス文学は役に立つ」そのウィットと奥深さにクスクス笑いながら一気に読んだことを思い出しました。 Paulo CoelhoのAlchemistは途中で挫折してしまったので別の作品にチャレンジしてみようかな。 人生へのヒントをいつもありがとう♪
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40ansparis at 2018-03-14 18:12
Cecileさん、いえいえ、決して多いとは言えないのですよ。
鹿島氏のは、彼が書いた本では無くて、編集して一冊にまとめ上げた本なのです。前書きなどはもちろん書いてありますけど、あちこちに書かれたフランス文学に関しての文章をまとめる作業、これも凄い仕事量、自分で書くより大変な労力と時間をかけた本です。 アルケミスト、日本語の文庫で読むとサラッと読めるのよ〜。訳も良いし、ストーリーに入りやすいかも。次回日本に行った時にでも見てみてね。そう言えば、エミリーディッケンソンの詩集、やっと見つけたのです。
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francana at 2018-03-16 01:46
わぁ、今回もたくさん読まれていますね~
毎回ラパンさんの感想で気になる本が何冊もあるのですが、なにしろ私でも最後まで読めそうなものを選ばないといけないので(笑)・・・ 立ち読みしたものの難しそうで、買うのを断念したものも数冊あります。ははは。 今回もいくつか読めたらいいなと思う本が。いつ読めるかは分かりませんが・・・(笑)ヴァレリーの恋も気になります~ 本を読む女性のカレンダー、すてきなプレゼントですね。
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40ansparis at 2018-03-16 06:19
francanaさん、毎回そんなに参考にしていたのですか?わあ、恥ずかしい〜。私の好み、ちょっと偏っていると思いますから、お気になさらずに、どうぞ。最近読みたいなあ、と思う本が、クラシックでも現代の作家のでも、分厚いものが多くて、、さらにまたノエルなどで頂いた本も分厚くて、笑。春夏へ繰り越ししました。ヴァレリーの本を書いたのは女性作家でビオグラフィばかり書いている方なのです。この方の他の本も読みたくているのですよ。ヴァレリーの本を読んでいる時に不思議な繋がりがあり、さらに楽しんで読みました。実話だと自分の中でテンションが上がり読むのが早くなる気がします。
でも文章がシンプルで簡単なボキャブラリーで書かれていてもストーリー構成が素晴らしいと引き込まれます。感じ方も人それぞれですし、本選びって難しいものですから慎重になりますよね。
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akicosmosA at 2018-03-16 09:22
やはり~^**の読書量のラパンさん。
多岐に及ぶ本はどれも読みたいと思いますが私にはとても無理かしら。それでも読書は大好きです。なのに積読ばかりを 反省中;; 最近は哲学に近い本で自分のことや人生を見つめたりしています。ちょっと合わないでしょう(汗);;
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40ansparis at 2018-03-16 16:24
こすもすさん、こすもすさんも結構読んでいるでしょう〜〜?知ってますヨ。
今回、ルモンドで紹介されたアメリカで大分前にピューリツィア賞を獲った本を期待して読んだのですが、自分には全く良さが分からなくて響きませんでした。やはり本って自分が感じ取る匂いというか、勘で自分が好きそうな本かどうかを選ぶのが一番かな、と感じています。 哲学は、日本では学校で学ばない分、難しく捉えがちですが、仏教の教えが既に哲学で、人生の苦境をどう乗り越えるか、どう生きるか、を語る誰にでも必要なものだと思います。私も少しずつですが読むようにしていますよ。
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arare719 at 2018-03-20 00:16
ジェーン.エア 下巻までやっと読み終えました!あ〜、面白かった!
ブロンテ姉妹、あの嵐が丘の作者が、妹さんだったこと初めて知りました。 昨年のラパンさんの読破された書籍を3冊ほど読んだのですが、どれも、しなやかで意識の強い女性の主人公に大いに共感、 読み終えた後の爽快感が、とっても良かったです。久しぶりに明るい気分になりました。 教養の乏しさ…笑、からか、からっしき、読むこと理解すること苦手で亀のように遅い。 本の世界って、気持ちをこんなにも豊かにさせてもらえるんだと思っても なかなか、量を読むことが出来なくて、、 それでも、今回も読まれた面白そうな、たくさんのラインナップ、 どれから読もうかとワクワクです。 猫の本や、小人のジョゼフや三島由紀夫、アンドレ マッキン氏…楽しみいっぱい!です。
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40ansparis at 2018-03-20 04:52
arare719さん、私の偏った本棚の中から3冊も読んで下さったのですか?ありがとうございます。
ブロンテ姉妹、そうなのです。嵐が丘もジェーン・エアもクラシックの中のクラシック、ですが、飽きる事がありません。時代は全く違うのに、、。 猫語の教科書、お好きだと思いますよ。楽しく猫の気持ちになって読めます、笑。 アンドレマッキン氏の本とJoujouの本は和訳はまだ出て居ないようです。時間が限りなく有るのなら訳して差し上げたいくらいです、笑。 読むスピードは、人それぞれで私も体調によっては同じ行ばかり追ったりして読むスピードが変わります。でも字を、フレーズを読む静かなこの行為が私の仕事の動に対する静の部分でビタミン同様に必ず必要な栄養素なのです。 いい本に出会うと自分の栄養バランスが取れたように感じます。
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