ここ数年、夏になると何故か古い日本映画の上映が企画されるので、毎夏、古い日本映画をスクリーンで観ている気がします。
大抵はフランス人にも人気のクロサワ、オヅ、そしてミゾグチ、が中心です。 この夏は、溝口監督の"近松物語"がリマスターされ上映されました。 (フランス語タイトルは、分かりやすく"十字架にかけられた恋人達"です) 溝口監督はフランスでは特にゴダールを始め、ヌーヴェルヴァーグ時代の映画監督がこぞって崇拝しているだけに、フランス人には小津監督と並んで巨匠扱いです。 パリで小津映画を観ている時にも、昭和の暮らしのストーリーにどっぷりと浸って観ている私は、ふと現実に戻り、周りがフランス人と言う状況に不思議な感覚を覚えるのですが、今回はまたサムライ映画。 京都が舞台なので、台詞は京言葉。 それを日本で大河ドラマを観ているような感覚でその世界に入り込んでいる時に、ふと、周りを見ると、フランス人達が真剣にスクリーンを観ていると言う、この不思議さ。 徳川時代のサムライ映画の京言葉が、下の字幕をチラリと見ると、訳されてtutoyer(フランス語のくだけた呼び方)で話されている不思議さと違和感、笑。 なかなか味わえない、貴重な映画時間でした。 考えてみると、私は自分の国が誇るべき映画を、フランスに教えて貰っている気がします。
by 40ansparis
| 2014-09-17 19:14
| cinema
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Comments(12)
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hairpriori at 2014-09-17 22:05
日本人こそクロサワ・・観てないかもしれないです
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40ansparis at 2014-09-18 04:07
hairprioriさん、本当にそうですよね。この溝口監督の映画だって、今の日本で上映した所で、老若男女で満席なんて、有り得ないですよね。
この記事は流石にコメントは全くないかと思いましたが、ありがとうございます。
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ihoko
at 2014-09-18 14:15
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確かにね・・。日本のよさや、日本の巨匠のすばらしさをこちらに来て、発見させてもらえる切欠を頂けること、ありますよね。
が・・やはり、フランスだからというか大人の文化の国だからという事が、大きいんじゃないでしょうか? こちらでも、時々、日本文化の紹介や、日本の映画フェアみたいなものがありますが、アニメの延長線ぽいな。と思うものや、何故、こういうエログロ的なものをわざわざ選ぶのか?みたいなものが結構多くて、うんざり~。 多分、こちらでエージェントというか、仲介に入っている、日本人の方の嗜好もあるんでしょうが、私が、余り日本映画フェアというものにも、日本人フェスタというものにも、全く惹かれないのは、なんか、妙な受けを狙っている。イタリア人ごときに媚を売りおって!みたいな、感覚が付きまとうからなんですよね。 受け皿になる方も、提供する方も、とりあえず集客さえ出来ればという目を惹くものではなく、目立たなくとも、静かにいい物を出せる。そのベースになるもの。成熟度が足りない気がするんですよね。
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40ansparis at 2014-09-18 15:22
ihokoさん、コメントありがとうございます。うーん、映画については確かにパリの場合、今の日本人でもあまり観た事のない映画を上映してみたり、、以前書いたように、パリの小さい映画館のオーナー達の心意気もあると思います。
が、昨今のマンガ アニメブームで、巨大なJapan expoなどが開催されて、コスプレのフランス人でいっぱいになったりする、、、そういう面ももちろんあります。 後は、映画だと、たまに嫌らしく扱わず、真剣にセンシュアルでエロティシズムに溢れている、と日活ロマンポルノが特集されたり、、、最近のフランス映画の映像に比べたら日活ロマンポルノの方が上品に見えるかもしれませんね、笑。
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marucox0326 at 2014-09-18 20:16
こんばんわ。
黒澤作品はいくつか見ていますが、 溝口や成瀬はケーブルTVで 少し見た記憶がある程度です。 なかでも溝口健二と言えば 私の中では断然「雨月物語」です。 幽玄の美の世界。森雅之すごく好きで 同じく共演した京マチ子との「羅生門」もいいけど。 「雨月・・・」のほうが映画としては好きですネ。
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cesariana
at 2014-09-18 22:02
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私は最近、ブリジット・バルドーを2本立て続けで見ました。こりゃ、人気者になるはずだというセクシーさ。名前、名声と記事だけ知っていましたが、作品ははじめてでした。
東西問わず、古い映画は新鮮ですね。
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40ansparis at 2014-09-18 23:38
marucox0326さん、溝口監督作品と言えば、今まで上映は確かに"雨月物語"が多かったですね。あの妖艶さ、、溝口監督自身の生き方も波乱万丈、女に背中を切られたり、激しいですが、そういった情念がやはり映画のカラーになっていますよね。ゴダールの映画にも通じるものがあります。
日本もフランスも、昔の俳優さん達のようなカリスマ性のある役者さんが少なくなった気がします。
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40ansparis at 2014-09-18 23:41
Cesarianaさん、それはそれは新鮮でしたでしょう。上のお返事にも書きましたが、今の時代よりもみんな若くても大人びていたせいなのか、今よりも昔の役者さん達の方がずっとカリスマ性がありましたね。だから古い映画の魅力が増すのだと思います。
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kanafr at 2014-09-19 09:51
こちらに来て、TVでしたが、田中絹代さん主演の西鶴一代女と山椒大夫を見た時の衝撃は今でも忘れられません。
昔の日本映画って今のような派手さはなく、カメラもじっくり撮っていますでしょ。心に残る映画はやはりこういう映画なのかもしれません。
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40ansparis at 2014-09-19 14:12
kanaさん、やはり溝口映画、ご覧になっていらっしゃいますね。感情の描写が激しく、役者さん達も渾身の演技ですよね。
映画にかぎらず、テレビドラマでさえ、昔の方が大人びていて、素敵なストーリーがたくさんあった気がします。 小津監督も溝口監督も、表情のひとつひとつや向きなど細部まで厳密に演技指導と言うか決められていたそうで、それだけ撮りたい映像がハッキリしていたのでしょうね。
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BBpinevalley at 2014-09-22 06:21
ワタシも、日本映画の真髄はアメリカに教えてもらいました。
オズとかクロサワとか、ものすごく敬われていますよね。 日本じゃ、なにそれ?というような映画も、祭り上げられているから不思議というか、楽しいと言うか…… クロサワさんなんて、最後は殆どフランスとアメリカからの支援によって映画を作っていたんですものね。 なんだか、日本、情けないですね。
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40ansparis at 2014-09-22 07:04
BBpinevalleyさん、アメリカでもそうですか。日本は海外が評価すると、途端に手の平を返した様に態度が激変する、と北野武さんが以前仰っていましたが、、、残念ですよね。芸術全般に言えますよね。画家のフジタも、一旦日本へ帰国したのにも関わらず、フランスへ60近くになってからまた戻り、フランスへ帰化してしまったのは、やはり正当な評価をしてくれない日本社会がそうさせたのですから。機会に恵まれる限り、都合がつくのであれば、日本映画、観にいくようにしているんですよ。
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