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下半期 : 本 2012-2013

忘れないうちに自分の記録として下半期分の本まとめを。

前回上半期をアップして暫くした頃、知人の一人から"オススメだって言うから読んでみたら難しかった!!"と"存在の耐えられない軽さ"にクレームが入りました、笑。
が、、、私、オススメなんて一言も書いて無いんですヨ。
私の独断と偏見ですから、読み流して下さいね。

秋冬の繁忙期はじっくり大作が読みにくいので、暫く中断してもいいエッセイ本がまず多くなりました。
普通は秋の夜長、読書に最適、でも私は少しペースがゆっくりしヴァカンスシーズンにもなる春夏の方がじっくり読書が出来ます。

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(エッセイ、随筆)

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- 何の知識もないフランス人に着物と言うものの作りから歴史を解説している文庫本。

- 東京時代に扱っていた香水のひとつを創り上げた知る人ぞ知る調香師の日々の香りに纏わる日記

-"le parfum 香水"が有名なドイツの作家の、愛と死の哲学的エッセイ

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- La cuisine des écrivants (文豪達の小説の中に出てくる料理や食べるシーンだけを掻い摘んだ本)
他、現代の作家のものもちらほら。

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( 古典回帰 )

映画も下半期は古典もの、文豪ものにリンクしていたので、エッセイの合間に。

中でも、フランス語で再読したアンドレ ジッドのシンプルで繊細なスタイルにはまってしまいました。
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田園交響楽を読んだところ、流れるような文章にスラスラと、あっと言う間に読み終えて、シンプルな文体で綴られていながら、綺麗で繊細な感性、読後に凄い感動と余韻。

これで火がつき、狭き門、背徳者、さらに日本語でも読んでいなかった、詩やエッセイ、彼の内面の呟きを綴ったものをまとめた本も読みました。

" les nourritures terrestres"は、フランス人には何世代にも渡って、何度も読み返す自分のバイブル、と言われ続けてきた本だそう。
彼の人生哲学、詩、偏見ある社会への怒り、同性愛者としての葛藤、などセンシュアルでピュアで、悲しい美しさも漂います。

フランスの彼の本のプロフィールには、彼がいとこの女性と形だけの偽装結婚(フランス語では、白い結婚、と言う表現をします)をしていたこともハッキリと明記されています。

アンドレ ジッドは同性愛者だった為、結婚生活の間も、やり場のない思う相手への切なさや苦しみ、葛藤を書き綴る訳です。結婚していながら、形だけの妻とは何ら関係を持たずに、男性と旅行に出かけたりしながら、それは小説へと形を変えて行きます。

そういった彼の背景を知った上で彼の小説を読むと例えば"L'immoraliste"(背徳者)は、小説の形をした彼の自伝に近い、という事が分かります。

敬虔なカトリック教徒でありながら、教会への批判精神も持ち、Cave de Vaticanと言う小説も書いていて、この本は長い間、ヴァチカンで禁書扱いにされていたそうです。

偶然にも、この春フランスでは同性愛者の結婚が認められ既に結婚式を上げたカップルがいますが、ジッドの時代はその偏見と戦わなければならなかった、、。

偏見ない社会へ、女性へも開かれた社会へ、と自由と解放を訴えた新しい世代の作家として存在した作家だった、だから今も若者に売れ続けているのでしょう。

川端康成の文章もそうですが、ふたりともノーベル文学賞受賞者。
難しそうですが、むしろ最近売れている作家達の文章よりも、ふたりともむしろシンプルで読みやすい、そんな共通点を感じました。

下半期に読めなかった彼の自伝はこの春夏に読みたいと思っています。
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古典ものは、他にも読みましたが日記の中に写真を載せたりしたのであえてここではジッドについて語りました。

古典回帰はもう少し続きますが、その合間に現代作家のものも読んでいます。春夏はやはり秋冬よりも読書に集中し易いかな。
ただ、夜読むとすぐに眠くなってしまうのが辛いところ。。。
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by 40ansparis | 2013-05-30 22:35 | 本 livre | Comments(23)
Commented by yumibag at 2013-05-31 09:04 x
改めてラパンさんの読書ライフ 凄いです!当たり前なんでしょうがフランス語の本をスラスラ読めるって憧れ以外の何物でもありません 毎回ラパンさんの写真にも惹きつけられますが文章にも引き込まれるのは日々読書の延長にあるんでしょうね
Commented by marucox0326 at 2013-05-31 10:54
ラパンさん、こんにちわ。

私も読みかけが沢山あって順番にやっつけなくちゃと
思っているところ^^。
単にしゃべることができることといわゆるリテラシーとは
違いますから、よく勉強されているのですね。

ジッドは「田園交響楽」、「狭き門」は読んだことがあります。
プロテスタントだったと思っていましたが・・・。
Commented by hairpriori at 2013-05-31 11:34
私も本好きですがこういうのはあまり読まないです
Commented by Cecile at 2013-05-31 12:53 x
アンドレ・ジッド、そうだったのですね。作家の背景を知ってから読むと更に文章の響きが変わりますね。
それにしても幅広く深くのラパンさんの読書、素晴らしいわぁ♪
Commented by ihoko at 2013-05-31 14:06 x
お待ちしておりましたよ~~。ふふっ。読んでますねぇ~。お忙しいわりにすごい量。ジッド。書いてくださった通りですよね(でも本当に不思議ね。私も同じく、ジッドが気になって・・)で、日本語よりイタリア語の方がはるかに読みやすかったです(同じラテンなので、翻訳に無理がないんでしょうね)
物語じたいも、文章もシンプルでいて、深い。しかもなんとも言えない余韻が残る。名作とは、こういうものを言うのでしょうか?おっしゃるように、私も現代の作家さんには、あまり感じないものを、古典に入る方々の中に感じる事が多いです。
田園交響楽は読んでないので、これもアマゾンでポチッといきますかね~。
Commented by 40ansparis at 2013-05-31 16:00
yumibagさん、スラスラと読めるかどうかは本にもよりますよ。
聞くための勉強とボキャブラリーのための勉強、どちらも私は映画や本が好きなので、苦に思わずに続けて来れています。
それと同時に映画も本も私には疲れた心身の鎮静剤のようなものなんですよ。
Commented by 40ansparis at 2013-05-31 16:06
marucox0326さん、仰るように話すこと、聞くこと、読むこと、どれも違う勉強ですよね。均等に勉強するのは難しいのですが、。
写真にある他の作家もそうですが、ジッドもプロテスタントではなくて敬虔なカトリックですよ。なのに批判精神に溢れていた、そこがハングリーでもあり勇気ある姿勢の彼の違うところですね。そのために目を付けられて法廷にも持ち込まれました。
時代と戦った人達が居て今日があるんですよね。
Commented by 40ansparis at 2013-05-31 16:08
hairprioriさん、私の読書、偏っていますから、、、笑。
日本の本屋さんに一日中入り浸りたい!です。
Commented by 40ansparis at 2013-05-31 16:11
Cecileさん、ジッドは私も日本語でしか読んで居なかったので、今回再発見でした。彼の人生も波乱で一筋縄ではいかなかった、そういう背景も興味深くて、はまりました。フランス語がシンプルなのに繊細なんですよ。
Commented by 40ansparis at 2013-05-31 16:26
ihokoさん、またまた同じ時期に同じことしていましたね〜。
昔の名作の日本語翻訳はその時代の書き言葉上、仕方ないのでしょうけれど読みにくいですね。彼自身の言葉で読んだら、すうっ〜と入ってきました。だから感動も余韻もさらにありました。
ジッドと言えば狭き門、と言うのが一般的ですが、今回再発見で読み直したら、一番短い小説なのに繊細な"田園交響楽"が一番余韻が残りました。深いです。是非読んで見て下さい〜。
前に書いていらしたように、ハングリーで満たされなかったからこそ名作は生まれたのでしょうね。やるせない思いが文字に変わって。ご本人は切なく辛いだけだったでしょうけれど。でもだからこそ、今現代のフランスの若者にも彼のエッセイはバイブルと言われているのだと思います。
今期スペイン人の詩人で作家の作品も出会いました!まだ詩を読んだところですけど。イタリアは、、やっぱりなかなか選べません。
またオススメ教えて下さいね〜。
Commented by whitelacenonyo at 2013-05-31 22:33
読書家ラパンさん、
エッセイも小説もフランス語ですかぁ~~
存在、、、、は挫折でしたが
昨日から、村上春樹の新作を読み始めました。
映画も、いっぱい感動ものを観て、楽しく、忙しい日々です。
Commented by 40ansparis at 2013-06-01 03:59
whiteさん、やはり存在の、、、はダメでしたか〜?ま、映画も本もそれぞれ好きなものを読む、観るに限りますね。
映画は最近いいものに出会っていないので、どちらかと言うと本の方に多く時間を割いています。あ、私達の?イヴがナレーションをしている50年前のドキュメントフィルムを観てきたところなんですよ。
春樹さんの新作はやはりまた爆発的な売れ方なのでしょうね。フランスでも常にベストセラーですよ。
Commented by mimi at 2013-06-01 13:35 x
*たくさん仏語の本や新聞をすらすらをよんでいぱらんちゃん。。。わたしの半分くらいの在仏なのに、いつも感心!!
わたしも本は子供の頃から大好きだけど、仏語となると読むのがしんどいし、しらない単語がたくさんで、そこでもうつかれちゃう。買っても読みかけのものがごろごろ家にあるわ~。笑
Commented by ihoko at 2013-06-01 15:11 x
イタリアの作家ですが、現代作家(若手ではなく、中堅&大家)の筆頭は映画にもなった薔薇の名前の、ウンベルトエーコ(彼は記号学と歴史の教授でもあるので、読み物としてだけでなく、ダビンチコードと同じように、中世の怪しい雰囲気を交えた歴史的考察の点でも、優れています)と、ノーベル賞を受賞したダリオ・ホー(この方舞台が主なので脚本的な感じ)このお二人は、現代のイタリアが誇る大家の方なんですが、唯一の難点は,まるで文献か資料かというくらい読解困難な感じを受けます、2~3冊読んで(2人もなぜかものすごい長編ばかりですが)いくと慣れるんですが,最初は、入りにくいかもしれません。
次、中堅。多分、名前聞かれた事があるかと思いますが、バリッコ。タブッキ。ベンニ。カミネッリ。など、それぞれかなり顕著な特徴があって、どの方も、最初の10ページくらいで、雰囲気がつかめるタイプの作家さんたちですから、立ち読みで、どうか?判断できるような気もします。
ベンニさんは、前にも書きましたが、ペンナックさんと親交が深く、カミネッリさんは、南アメリカの作家さん(ちょっと名前ど忘れしました)と、親交が深く、ラテン文学の影響も受けているようです。
Commented by ihoko at 2013-06-01 15:15 x
バリッコさんは、なんというか、私には鼻につきます。彼自身が自分の文章に酔っている感じが見え隠れして、それが見えすぎるのが苦手です。私は、同じにおいを村上春樹さんの作品にも感じる事があるんですが、物語どうこではなく、こう書けば、読者がこう反応するという計算が見えてしまうと、私は物語に入れなくなるんですよね。(あくまで個人の感想ですので聞き流していただいて・・)

と・・今はもうお亡くなりになった方々ですが、
やはり、完全な古典ではなく、新古典とでもいえる領域のかたがた、アルベルト・モラビア。ナタリア・ギンズブルグ 。イタロ・カルビーノさんなどは(彼は、青い花のケノーさんとご親交深く、ケノーさんの作品の翻訳者は、カルビーノさんという事が多いです)文章も非常に綺麗で読みやすく、ジッドさんのように、無理に話を複雑にせず、入りやすいような気もします。

新進作家の分野では、イタリアにも芥川賞のようなものがあり、毎年それが発表になりますが、あくまで、個人的意見ですがどうも日本と同じく、読んでみてもピンとこないものが多いようです。
Commented by ihoko at 2013-06-01 18:00 x
つけたし:ねぇ~~。なんかね。ジッドさん。鼻とか唇のあたりがオスカーワイルドに似てません?
Commented by 40ansparis at 2013-06-01 22:59
mimiちゃん、いやあ、スラスラでもないけどこのジッドのはスラスラと読めたわ。文がシンプルだから。新聞はまだまだ時間がかかるから毎日のようには読めないけど、新刊や本の話題が特集の曜日や週末に読むことが多いかな。私もそんな風に嫌になって挫折したのは英語なの。フランス語は不思議と嫌にならないのよ、、、不思議。mimiちゃんなら分かってくれると思うけど、私には本はお薬だから、笑。好きなのはmimiちゃんも読んでるよね。
Commented by 40ansparis at 2013-06-02 01:33
ihokoさん、早速たくさんの作家さんを紹介して下さってありがとうございます。フランスの本屋さんを見る限りでは、常にベストセラーコーナーに必ずあるのがプリモ レヴィの本です。アウシュビッツからの生還者としての視点で書かれた本が常におかれて居ます。
イタリアコーナーを見ると、他の作家よりスペースを取っておかれて居るのは、書いていらしたタブッキさんとカルビーノさんです。
フランスでは売れている、と言うことなのでしょうね。一方教えて頂いて私が読みたくて探したギンズブルグさんは本屋さんによってはやっと一冊だけ見つけるような感じで選べるほど見ませんでした。残念。
少しずつ教えて頂いた中から出会いを探しに行こうと思っています。まだまだフランス古典回帰中ですけどね。
Commented by 40ansparis at 2013-06-02 01:39
ihokoさん、まさにジッドのエッセイにはオスカー ワイルドと交流があったことも書かれているんですよ。かなり親しくなったようです。お互いに同じ匂いを感じたのでしょうね。
ふたりともその時代の中ではアウトローで、何かと裁判沙汰になったり、似ていますから。
私、19世紀の、男性の服装が大好きなんですよ。
まだ肩の柔らかい作りのジャケットと、今のネクタイになる前のクラヴァット時代。この表紙のようなスタイル、好きなんですよ〜。
Commented by ihoko at 2013-06-03 15:51 x
プリモ レヴィ 氏。忘れておりました。<これが人間か?>ですね。彼、ユダヤ人でもありますが、レジスタンス運動に参加して、捕らえられ収容所送りになった方ですから、レジスタンスに燃えたフランスでは人気があるのかもしれませんね。
ナタリアさんもユダヤの方ですよ。
イタリアって、ほんの半世紀前くらいまで、非常に貧しい国でしたでしょう?移民する人も多くてね。作家さんに限らず、学識者や科学者の仲に、ユダヤ系の方が本当に多いんですが、この時代にあって、ユダヤ民族の方々の、教養の高さや教育につぎ込む熱意、それに必要な経済的豊かさが伺えて、違う意味で、日本とは違った発見があって面白いです。

私も男性に限らず、19世紀のころの女性の洋服も大好きです。なんか、いまどきのものは、安っぽい感じがしますね。
オスカーさんとジッドさん。あうんの呼吸で、わかることもあったのではないかと思います。お気の毒な時代に生まれてしまわれて、人を愛しているだけなのに・・それすら公にできない一生でしたでしょうが、そのおかげで私たちは、良い本を得させて頂けました。まさに、一身、一生をかけた芸術。
Commented by 40ansparis at 2013-06-03 17:38
ihokoさん、そう、その本です。一番フランスで読まれているイタリア人作家でしょうね。レジスタンス活動をしていた人達を今でもリスペクトするフランス、それにナチス統制下時代もフランスは経験していますからアウシュビッツからの生還者と言う点でもフランスで読まれる理由のひとつでしょう。
フランスもユダヤ系の方は多くて、ユダヤ人街もありますよ。
ファラフェルのスタンドも沢山あって、ユダヤ系の書籍を扱う本屋さんやユダヤ料理のお店、ユダヤ教会、、、。
ユダヤ人に学ぶことは沢山ある、そんな本も知識本によく見ますよね。読みたい本が増える一方で、、一生のうちにどれだけ読めますかね〜?私、まだまだフランス古典回帰の渦から抜け出せそうにありません、笑。
Commented by kanafr at 2013-06-10 02:24
遅ればせのコメントでごめんなさい。
この記事をアップされた時に、わあ~アンドレジッドってこんなお顔をしている方だったんだわって、コメを残したつもりでいたんですが、どうやらその頃日本からの来訪者に追われコメしたつもりになって、寝てしまったようです(恥)
私、多分田園交響楽も題名だけ記憶にあるので、読んでいる筈(勿論、日本語です)なんですが、母が私にアリサとつけたかったと言った狭き門の方が凄く印象にあって覚えていません。しかもかなり若い頃ですから、アンドレジッドがどういう方かも知らず、今回lapinさんの記事で初めて知りました。
今よりはるかに偏見に満ちた時代だったから、生き抜く辛さもかなりあったんじゃないかと思います。
それにしても、お忙しいのに毎回凄い量の読書をされていらっしゃるなんて、本当に素晴らしいわ。
私も本好きだったんですが、目が悪くなってから読みたい本は増えても遅々と進まずです。
Commented by 40ansparis at 2013-06-10 03:11
kanaさん、アンドレ ジッドを思い出させて下さったのは確かkanaさんのコメントなのです。私がアンナ カレニーナか何か、古典回帰中と言うことを書いた時の。フランス語で読み直していなかったワ!と軽い気持ちで読み直し、、彼の繊細な感性にはまりました。まだ他にもジッドの本で読んでいないものがあるので追って読みたいと思っています。彼の背景を知ったのは私も今回読み直しをしてあらためてプロフィールを読み、彼のエッセイを読んでからです。
彼が苦悩された分、私達は名作を手にすることが出来るのですよね。
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