友人に借りたこの本。
2008年に亡くなった、フランスの偉大なデザイナー、イヴ・サン・ローランの公私ともにパートナーだった ピエール・ベルジェが、亡くなったサンローランへ書き続けた手紙。 手紙は、話しかけるような口調で書いてあるものが多いので、感情移入してしまいます。 サンローランの洋服の展示会や、ふたりの長年に渡る美術品のコレクションやオークションはかなり パリでは話題になったけれど、残念ながらこの二人の50年もの愛のドキュメント映画は、あまり話題に ならずに終わっています。 映画は去年公開後すぐに私は観て、最後には大泣きしました。私と同じ回で観た人たちは、見た所 外見からだとファッション関係者っぽかったので、最後のシーンでは、拍手喝采になったのを 覚えています。 ただ、フランス人には、ゲイのカップル、、ということで嫌悪感を出す人もいて、そんなせいもあるのか映画は あっという間に公開終了となりました。 映画では淡々とナレーションをしていたピエール・ベルジェでしたが、この本では50年もの二人の愛を 経た後に独りになった喪失感や虚脱感、そして今も変わらない愛を読みとることが出来、彼の気持ちに なって、目頭が熱くなるような文章もあちこちにあります。 読んだ後、今私が感じるのは、、、、 いい時期だけではなく、辛い時期、嫉妬に狂う時期、お互いを失いそうになる時期、、、一言では 言い表せない二人の歴史を読み取るには、映画だけでは足りない気がします。 そういった意味で、映画を裏付ける、彼の本音が彼の言葉で書かれた素直な気持ちを読むことが 出来て、再度感動したのでした。 * 昨日の国会では、それでもやっぱり今回も、同性愛者の結婚を認めるか否か、、、、 議論の結果、却下されたそうです。 人々の目も、意識もかなり自由に見えるフランス、、、でもまだフランスも、この主題に関しては まだまだ偏見が強いと感じます。 ところで、ピエール・ベルジェの書くフランス語、映画の中で話しているフランス語は、とっても綺麗で エレガント、そして文章も素直なのがわかります。決してこねくりまわした難しい表現なんて使っていない のに。 彼の素直な気持ちを読んだ今、もう一度、この映画を観たくなりました。
by 40ansparis
| 2011-06-15 17:12
| 本 livre
|
Comments(12)
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sahobo at 2011-06-16 00:47
こんにちは。
この映画、去年見た映画のベスト10に入れたくらい感動したのですが、記事を拝見して本も是非読みたいと思いました。 私も映画の中のピエール・ベルジェ氏のフランス語がエレガントだなぁと思っていたので、どんな文章なのかとても興味があります。 まだ辞書が必要ですが最近フランス語の本も読めるようになってきたので挑戦してみようかな。 素敵な本のご紹介、ありがとうございます♪
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40ansparis at 2011-06-16 01:17
sahoboさん、私も感動したものの、ベスト10には入れませんでしたが、、、本、とても私は感動しました。
政治の本も書いているし、ピエール・ベルジェのフランス語は難しいんじゃないかな、、、と半信半疑で読み始めて、、、でもシンプルな文章で綴ってありましたから、辞書を引きながらでも挑戦してみて下さい。 私もこの本を教えてくれた友人に感謝してます。
*この本は、私が唯一辞書を1度も引かずに読めた本。それだけ、彼の言葉が、いかにYVESに話しかけるような口調で書かれてるか良くわかります。冒頭のPline le Jeune の言葉1行が、ピエール ベルジェの気持ちをすべてあらわしていたよね。この1行、何度読み直しても涙が出るわ。
パックスができたように、同性愛者の結婚が認められるのも時間の問題だけだと私は思うな。
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whitelacenonyo at 2011-06-16 17:54
NHKのドキュメントを見て、映画をみて、恋に、愛に国境も、同性もない、そこにあるのは真剣な一途な恋と愛だと悟りました。
ピエール・ベルジェ氏の落ち着いた佇まいや話し方に感性の鋭さや愛する人に捧げる人生、なんと素晴らしい生き方かしらと感動して、同性愛を少し理解できました。 あの自由なフランスでもやはり・・・と又改めて感じることが ラパンさんの記事で認識しました。 この本が翻訳されたら是非、読んでみたいわ。
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akicosmosA at 2011-06-17 00:55
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kanafr at 2011-06-17 07:20
私もこの映画で泣いた一人です。
もっともその前にあったサンローラン展でも泣いたんですけれどね。 ひとりの天才に捧げた愛、そしてその愛に守られている事に、気づいていながらも時にはその愛するものを傷つける愛、そして愛する者を残し逝ってしまう、愛は時にはこんなに残酷な形で終りを迎えるのかと、あの時思いました。 この国は大統領によってコロコロ法律が変わる国だから、以前緩くなっていた事も、多分今回の法案却下もそこら辺に原因がありそうですけれどね。
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40ansparis at 2011-06-18 04:10
mimiちゃん、そうそう冒頭のあの言葉、集約しているよね。その冒頭の言葉について、以前書いてなかった?でしょう?
PACSで十分満足しているようだ、っていうのが今回の結論らしいけど?そんな風に片付けちゃっていいのかな?
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40ansparis at 2011-06-18 04:13
whiteさん、NHKでドキュメント番組を放映していたんですか?観たかったなあ。。
ピエール・ベルジェは、まさに影の力持ちで、ずっと自分は表に出ず支える役割りをしてきた人です。なかなか出来ませんね。。。でも本当はいろんな会社を持っていたり、、、凄い権力者なんですけどね。
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40ansparis at 2011-06-18 04:14
こすもすさん、仰る通りで、彼が居なかったら、サンローラン自身のメゾンは存在しなかったんですよね。そこまで愛すること、愛されること、、、なかなか経験出来ないことだと思います。。。
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40ansparis at 2011-06-18 04:16
kanaさん、そうでしたね。ダイアリーに書いていらっしゃいましたよね。
私は映画を観た直後は、新入社員時代に彼自身の服をよく目にしていたころからのいろんな思いが交差して、どう書いていいか、まとめきれなかったのです。そうですね、、、すぐころっと法律、、、変わっちゃいそうですね。フランスですからね~。
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mimi
at 2011-06-18 04:23
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*lapinちゃん、書いてた書いてた!笑) よく覚えてるね。この本買ったあと、すぐUPしたんだったよ。
Pline le Jeune の言葉もかいてる!ほんと、よく覚えてたね!恩人はすっかり記憶から消えてたよ~。 今日はありがと。途中でパソコン叩いてごめんね! また、今日明日中にメールするよ!
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40ansparis at 2011-06-20 04:35
mimiちゃん、書いてたでしょう?だって、それを読んで、この本を読みたい!って言ったんだもの。それは覚えてるよ。
この言葉、虚脱感をよく現してるけれど、それでも彼は最愛の人を失ったとは言え、50年も添い遂げられたんだもの、叶わない思いを抱えている人よりは、ずっとずっと幸せよね。
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