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黒澤映画の魅力 再発見

復活祭商戦の辺り、黒澤明監督のオマージュ上映が続いていました。

繁忙期だった為、休みの日に行けた二本と復活祭が終わった後ギリギリに観れた一本の合計三本だけでしたが、観てあらためて黒澤明監督の映画の凄さを思い知りました。

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クロサワと言えば、映画の好きなフランス人にとっても、フェリーニ等と同じく映画の巨匠です。

が、黒澤映画の主役の常連、三船敏郎もミフネ、ミフネ、、、と観に来ているフランス人が話しているのが聞こえるほど知られています。

フランスに住んでいると、日本を見る時、日本人でありながら半分外国人の目になっている自分がいます。

久しぶりに黒澤映画を観て、何に感動したか、というと、もちろん二時間以上の長い映画でも時間を忘れてしまうほど魅力的なストーリー構成もそうですが、今回は何故か、三船敏郎の存在感のオーラに感動したのです。

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黒澤映画には、三船敏郎の他にも今では大俳優となっている名優が沢山出演しているのですが、三船敏郎は他の俳優と格段に違う、厚い胸板のヨーロッパ人の様な体格と力強い目力、圧倒的な存在感でスクリーンの中でオーラが出まくります。

ああ、だからヨーロッパの人達にも人気があるのね、、と納得しました。

"天国と地獄" "悪い奴ほどよく眠る"は私の黒澤映画の中のベストなのですが、、これもまだ駆け出しの若い山崎努が犯人の学生役だったり、、と色んな意味で見ながら感動します。
こういった見方は、フランス人には出来ない、日本人ならではの楽しみ方。

パリでは何度か黒澤映画をスクリーンで観ていますが、三船敏郎の圧倒的な存在感を感じるにはテレビではなくてやはりスクリーンですね。

黒澤映画が評価高いのは、俳優陣に恵まれた、のもあるかもしれません。

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黒澤明監督は、かなり読書家だったそうですが、悪い奴ほど、、、の映画も、元はシェイクスピアのマクベスからインスピレーションを受けて製作されたのだそう。

日本映画も、毎年、クロサワ、ミゾグチ、オズ、、、と色々スクリーンで観せて貰っていますが、黒澤明監督が今だにフランスでも大絶賛される理由が分かりました。
どの回も早くから行列が出来て満席でした。

そして毎回感じる、フランス人に囲まれて日本映画を観る不思議さ。
サムライの台詞がtutoyer (フランス語の親しい仲で使うくだけた言い方)に字幕の出る不思議さ、、笑。
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by 40ansparis | 2016-05-22 02:13 | cinema | Comments(8)

映画まとめ 2015-2016 f/w

秋冬のまとめをやっと。
遅くなってしまい、四月に観た映画も入れました。

本も映画も、秋冬は"80年代との再会"だったように思います。
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特に若い頃のメリル ストリープ出演作品が、あの頃にその映画を観た頃をも思い出させてくれました。
"アウト オブ アフリカ"は事実を元に描かれた映画ですが、この映画、私は当時まだ二十代でしたか、、、心を奪われてしまった映画でした。主人公の女性の凛とした逞しさと生き方に。
"ソフィーの選択"は何度か観て本も持っていますが、これも見た後暫くは立ち上がれない位の凄さ。
最近の軽い映画5本分くらいの充実度と感動。

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先日書いたように、もうひとつ繋がったテーマはスパイ。
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黒澤映画のオマージュ上映がありましたが、観に行けたのは二本でした。が、あらためて感動したので、また後日書こうと思います。

毎シーズン、ナチスや大戦後の傷跡を描く映画が上映されますが、この冬に公開された"les innocentes "は、知らなかった衝撃の事実が描かれていました。画像は美しくて最近のフランス映画の中では群を抜いて印象に残りました。
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カンヌ映画祭で賞を獲ったり、最近の日本映画もちょっぴり頑張っています。
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80年代、まだ二十代の頃に感動した映画に再会出来て嬉しいシーズンでした。
疲れを引きずって行っても、やっぱりスクリーンで観て良かった!と思えました。
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パリは毎週200本もの映画が上映されています。凄い、、、と思います。
映画に励まされ、元気をもらい、心の栄養も取り頑張れた秋冬でした。

自分の記録用の、この映画、本まとめですが、読んで下さりありがとうございます。
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by 40ansparis | 2016-04-27 23:32 | cinema | Comments(8)

2015 S/S 上半期 映画まとめ

この春夏は、20年ぶりに観れたような大好きな古い映画を、沢山映画館で観る機会に恵まれました。
いつも通り、この映画まとめは、パソコン上やテレビでは無くて、パリの映画館で観たものをまとめています。

パリは観きれないほど沢山の新旧映画が毎日上映されていますけれど、それでもなかなか観る機会に恵まれない上映が稀な映画も沢山あります。俳優の上映権みたいな事が絡んでいるのでしょう。

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最近は、日本映画も古いものばかりでなく、上映されるようになって来た気がします。
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以前も書いたように最近のフランス映画はまた観たい、心を揺さぶられるような映画が少なくて、実際、ラジオで先日言っていたのは、最近のフランス映画で100万人を動員するような映画はない、んだそうです。

新作で私が観た中で感動したのはアメリカ製作や他のヨーロッパ製作のもの。
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新作で一番印象深く、今もまた観たくているのがAmy Winehouse のドキュメンタリーフィルム。

彼女の歌にはあまり興味が無かった私でしたが、最初彼女はジャズシンガーを目指して歌っていたと知り、映画の中でも大御所トニー ベネットとデュエットしたBody&soulのスタジオ吹き込みの様子があり、私は彼女の声量に鳥肌が立ち、引きこまれてしまいました。成功の裏に必ず存在する、それを利用しようと企む人達や、孤独、光と闇、、、彼女の内面を探るフィルムでした。

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秋口に観たのも入れてしまいますが、この春夏は大好きな映画が沢山観れて、数だけでなく、中身の濃い満足度でした。

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ルイ マルの大好き過ぎる"死刑台のエレベーター"。画面に合わせて即興で作ったと言うマイルスのトランペットがこれまた鳥肌が立ち、古き良き時代のパリの景色に合います。

ジャンヌ モローは、カトリーヌ ドヌーヴよりも私にはずっと、フランス女のリアリティーを感じます。

この映画も、二十代の初め、ジャズを教えてくれた先輩が教えてくれたので観たのだけど、最初から鳥肌が立ったのを覚えています。
この映画を撮った時のルイ マル監督、当時25歳!成熟度に驚き。

この秋は、好きな俳優が出ている映画でも、凄く惹かれる映画が少なくて、疲れた身体を引きずってまで行こうと言う気になれず。

この春夏に良い映画を観過ぎたせいかなあ。
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by 40ansparis | 2015-10-05 19:15 | cinema | Comments(8)

この夏も日本映画

毎年、パリで夏になると何故か日本映画の上映が増えると言う話を、去年も書きましたが、もちろん今年も上映しています。

今年は小津映画よりも溝口健二監督作品が多いです。
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山椒大夫、安寿と厨子王の物語、、日本人でありながら、きちんと知らなかった、と分かりました。

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楊貴妃、の物語に、

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赤線地帯、、、
女の激しさを描く溝口映画が何故フランス人に人気があるのか、、、何だか分かってきました。

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そして、雨月物語。

古典の題材なのに、溝口映画は斬新で、激しくて、残酷で、浮世離れしているようで、現代の私達にも共感する、通じる感情が描かれている、、、。

最近、じわじわとはまってきた溝口映画です。

毎回思いますが、、、日本語の台詞を聞きつつ、フランス語の字幕を読むと、、、

うーん、何か違うんだけどなあ、、、と感じる事がよくあります。
でも、これは翻訳本を読んでも同じ事。

絶対に、当てはまる同じ表現の訳が見つからない、本当にズバリ同じ意味に訳せない、、、と言う事が起きるから。
つまり、同じ表現が見つからない、と言う事をさらに訳せば、同じ感情が存在しないから、、とも言えます。

だから、その国の言語も、その国の国民性や文化を理解する事に繋がる訳ですね。

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by 40ansparis | 2015-07-07 02:44 | cinema | Comments(10)

25年ぶり、、、?

先日、真夜中の中世美術館の横を通り、夜の上映へ、、、、。
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雰囲気、ただならぬ迫力ありますね。

何と25年ぶりくらいでしょうか、、、
この迫力に相応しい映画をスクリーンで観ることが出来ました。
ゴッド ファーザー!

しかも、三時間と長い映画、、、。
でも長さは感じませんでした。

今、観ても新鮮。配役が凄すぎる、、、、、。

パート2,3は時間が取れず観ていませんが、このマーロン ブランドのパート1が最高です。

若い時に観た時には、多分あまり理解して居なかった様々な事を再発見しました。

この春は、少ないながらも、かなり久しぶりに幾つか古〜い映画を観ることが出来て嬉しいです。

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今、日本で公開中の、武さんの映画、観たくて堪りません〜〜。
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by 40ansparis | 2015-05-04 18:08 | cinema | Comments(18)

映画まとめ: 2014下半期

10月から下半期は怒涛の忙しさに突入、映画も本も殆ど9月から10月初めと年が明けてから観る事が出来たものばかり。

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トリュフォーのオマージュで、かなり長期間上映していましたが、時間が合い観る事が出来たのはほんの一部でした。
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相変わらずフランス映画はコメディか、それ以下の映画が多くて、心を揺さぶられるような映画は、結局海外の映画か古い映画でした。
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1月のテロに関連して、シャーリーエブド紙のイラストがやはり議論を巻き起こした10年も前の事件や裁判の様子を追ったドキュメントフィルムも観ました。とても興味深く、何故描かれるか、他の新聞でも同じ様な風刺画が掲載されても何故シャーリーエブドなのか、、、など考えさせられ、絡まり過ぎた毛糸玉を目の前にしたように途方に暮れました。
でも、シャーリーエブドばかりを批判攻撃している人達にこそ、観て頂きたい、と思いました。

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二月末のセザール賞は、ずっとふたつのイヴ サンローランの人生を描いた映画のどちらか?と言われていました。
が、私は先日も書いたTimbuktuを観てしまったら、もうこのTimbuktuに獲って欲しい、サンローランじゃないでしょう、、、と思い、、、、、、

結果、見事このTimbuktuがセザールに輝きました。やっぱり!と私まで嬉しかったです。いろいろな意味で凄すぎる映画。
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上期同様、映画の原作を知り、新たな本、作家の発見もありました。

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三月に入り、これからの一ヶ月はまた、怒涛の日々になりそうなので、今のうちに本も近日、まとめたいと思います。

秋冬は限られた時間でしたが、観た映画は、どれも良かった、、、。
いつものように、古い映画で大好きなものは二回観たりしました。

トリュフォーのオマージュ展示会を開催していたシネマテークがこの三月からオマージュ展示会をするのは、なんと大島渚監督みたいです。
大島渚監督は、フランスでは、ヌーヴェルヴァーグ ジャポネの代表的監督として捉えられています。
ですから、小津監督や溝口監督とは全く別にまた凄く評価をしているんですよ。こちらは復活祭が終わったら絶対に行きたいと思います。
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by 40ansparis | 2015-03-03 05:31 | cinema | Comments(16)

Timbuktu

12月半ばに公開されたばかりの映画。
1月に入ってからやっと見たのですが、この映画の内容、ジハーディストに支配されたアフリカの小さな土地の人々のドラマ、と言う、パリのテロ後の偶然タイムリーになってしまったテーマの映画。

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この映画には、様々な意味での非現実が描かれています。

大都市にはない、広大な砂漠、自然と野生、土の上で暮らすアフリカの伝統生活。
これがスクリーンで見ていてとても美しい。

それと安全と言う言葉の存在しないジハーディストがすぐそこに居る人々の暮らしや日常にある銃や殺し。

今やジハーディスト達は、砂漠の中でもiPhoneで連絡を取り合う時代。

理屈の通らないジハーディストによる、残酷なシーンが心を突き刺す。

と同時に、美しいアフリカの風景や人々の表情、洋服などの鮮やかな色使い、歌やダンス、、、、、と言うポエティックにさえ感じるシーンもあり、残酷なシーンが余計に辛くなる。

美しくて悲しくて、虚しくて、感動と余韻が凄い映像。
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by 40ansparis | 2015-02-09 20:02 | cinema | Comments(6)

Manhattan

やっと出来た時間に、かなり久しぶりに観れた、ウッディ アレンのマンハッタン。
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ウッディ アレンは、特別お気に入りの監督ではないけれど、初期の作品のマンハッタンは特別好きな作品。

NYはガシュインのリズムが合う、と映画でウッディ アレンはナレーションに言わせているように、ジャズは私も、やはりパリよりもNYが合うと思っています。
この映画のジャズのスタンダードの使い方もセンスが良い。

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ポスターになっている夜の散歩のシーン、ポストカードで欲しいくらい本当に好きです。

モノクロで描かれているこの映画は、ウッディ アレンの色々なセンスの良さを感じる作品であり、、、永遠の議論テーマ、男と女、結婚や離婚、愛か友情か、、を考えさせられる映画です。

結婚するより友人で居た方が良い場合もあり、、、

恋人ではなく、親友で居た方が良い場合もあり、、。

男女の友情は成立するのか否か、、?

フランス語学校に通った頃の授業でも、このテーマには議論が白熱したのを思い出しました。

センスの良さ、と言う意味では、若い頃から女優選びのセンスも抜群で、マンハッタンには、ちょうど駆け出しの美しいメリル ストリープが出演しています。

なかなか映画館で観る機会の少ない作品だけれど、もう一度観たい、、。
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by 40ansparis | 2014-11-14 05:40 | cinema | Comments(10)

Get up !!

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楽しみにしていた、ジェームス ブラウンの人生を描いた映画を観ました。

今年観た、全ての映画が吹っ飛んでしまう位に、衝撃的で感動的で、最高にファンキーでした。なんと言う人生!

ソウルミュージックは学生の頃から大好きで、その後は出会った男性達の影響が強く、ソウルとジャズは今でも私のメインミュージック。

二十代初め通っていたモダンダンスのお稽古場の、当時既に60歳を過ぎた、一糸の乱れもないシニヨンのC先生が、バーレッスンの後の筋肉を解すフロアレッスン用に、当時売り出し中の最高にファンキーなプリンスの1999を使っていて、、、

その辺のカルチャーセンターではなく、厳格な舞踊家のお稽古場でプリンスの1999をかけてしまうC先生のファンキーさと言うギャップに驚き、C先生、最高!と辛いお稽古をそのノリノリの曲で楽しめたのでした。
今考えても、プリンスを、あのお稽古場でかけてしまうなんて、凄すぎる。

今でもプリンスの1999を聴くと、じっとして居られず、身体がフロアレッスン用に動きます、笑。
私のiPhoneにも、1999もジェームス ブラウンのGet upも入れてあります。

映画から脱線しましたが、、、
客席でじっとして居られず、身体が揺れてしまって、あっと言う間の二時間。
映画の中の人達みたいに、立って踊りながら観たかった!映画でした。

ジェームス ブラウンを演じきってしまった凄い役者さんと凄い人生を観に、もう一度観に行きたいと思っています。

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by 40ansparis | 2014-10-03 03:58 | cinema | Comments(12)

パリの夏と日本映画

ここ数年、夏になると何故か古い日本映画の上映が企画されるので、毎夏、古い日本映画をスクリーンで観ている気がします。

大抵はフランス人にも人気のクロサワ、オヅ、そしてミゾグチ、が中心です。

この夏は、溝口監督の"近松物語"がリマスターされ上映されました。
(フランス語タイトルは、分かりやすく"十字架にかけられた恋人達"です)
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溝口監督はフランスでは特にゴダールを始め、ヌーヴェルヴァーグ時代の映画監督がこぞって崇拝しているだけに、フランス人には小津監督と並んで巨匠扱いです。

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パリで小津映画を観ている時にも、昭和の暮らしのストーリーにどっぷりと浸って観ている私は、ふと現実に戻り、周りがフランス人と言う状況に不思議な感覚を覚えるのですが、今回はまたサムライ映画。

京都が舞台なので、台詞は京言葉。

それを日本で大河ドラマを観ているような感覚でその世界に入り込んでいる時に、ふと、周りを見ると、フランス人達が真剣にスクリーンを観ていると言う、この不思議さ。

徳川時代のサムライ映画の京言葉が、下の字幕をチラリと見ると、訳されてtutoyer(フランス語のくだけた呼び方)で話されている不思議さと違和感、笑。

なかなか味わえない、貴重な映画時間でした。

考えてみると、私は自分の国が誇るべき映画を、フランスに教えて貰っている気がします。
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by 40ansparis | 2014-09-17 19:14 | cinema | Comments(12)