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古本の手当て

いつもの、近所の古本屋のムッシュウに私の持っている古本の状態を見て頂いた時、直ぐに一言。
" ああ、これは直ぐに手当てしてあげないといけませんね"

三日ほど預からせて欲しい、と無料で手当てをして下さいました。
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表紙を折る部分が、そのうちに痛んで裂けるだろうから、と言う手当てでした。

出来上がりを受け取る時も私に、
" この本を開く時は、優しくそうっと開かないといけませんよ。" とまるでお医者様の様に言っていました。

この古本屋のムッシュウの事は以前も書いたのですが、本に対する愛情が兎に角素晴らしいのです。例えその本が自分のお店の本でなくとも。

例えば、、、

普通の古本屋さんはほとんどと言って良いくらい、表紙を開いた直ぐのページの右上の端に価格を鉛筆で書いています。

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が、ムッシュウはそれをなさらない。値段を書いた小さい紙を挟んでいるだけ。
鉛筆なら後で消せる、と言う問題ではない、との事。

私がお店を訪れた際に持っていた今読んでいる文庫を見て、読んだ所まで、とページの端をちょっぴり折っているのを見て、、、折ったりしては本がかわいそう。折るよりも、こうしましょうね、と
ご自分のショップカードを挟むよう、渡して下さる。

といった具合に。

こうした愛情に包まれてお店に陳列された古本の状態の清潔で綺麗な事。

古本ですから、状態が様々なのは当然、と私なんて思ってしまいます。
実際に他の古本屋ならそのまま、古いんだから汚れてて当然と店頭に置かれているような程度の本でも自ら手当て、治療してから店頭へ。
それなのに、ご近所価格。

いつも頭が下がる、本へ尽くす姿です。
パリには界隈にひとつは古本屋がありますが、これだけの愛情を注いでいるお店はどれだけあるのか、、と思います。



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by 40ansparis | 2016-10-06 02:42 | 本 livre | Comments(16)
Commented by hairpriori at 2016-10-06 11:25
質感が
とても素敵ですね
Commented by Cecile at 2016-10-06 11:56 x
ムッシュウの本に対する情熱は内容だけでなく、その取扱いまでも愛情にあふれているのですね。お店が清潔なことも全て本につながっているのでしょう。そのような人に出会えてラパンさんも幸せね。
素敵なお話、ありがとう。
Commented by environtuushin at 2016-10-06 13:09
今日も なんと素敵なお話しなのでしょう^^
私も本 キレイなままでいたいのです
いえ 古くなって当然なのですけど 大切に扱いたいのです
本のしおりも買ってます でも それを使わず 本についている しおりで代用してますが…^^;

もちろん 服だって 靴だって 家具だって
大切に使いたいのです
Commented by ihoko at 2016-10-06 16:36 x
あーーー。私なんてとても駄目です。

私、本を大切にしないの。どこでも転がって読むし、
浜辺で泳いだ後でも、砂だらけの手で本を開くし
洋服や靴でもね。最低限の手入れはしますが
綺麗なままが何となく嫌で、自分の手垢をつけたく
なるタイプなんですよ。ムッシュの天敵確定!。
本がお好きだから古本屋さん始められたのでしょうが
これだけ繊細な心持ちで仕事されていると、今の時代の
本の扱われ方には心が痛い事も多いでしょうね。
Commented by 40ansparis at 2016-10-06 17:10
hairpriori さん、この表紙の背表紙の部分は革、中の紙も質のしっかりした紙で、銅版画のイラストまで付いているのですよ。
Commented by 40ansparis at 2016-10-06 17:15
Cecileさん、本当にこんな本のお店が近くにあり、お抱えのお医者様がいるような気持ちです。近所の本好きのお客様がムッシュウの優しさ、プロ意識の高さ、博学や本好きの愛情ある姿に居心地が良過ぎて座り込んで本談義しているのも見かけます。皆さん、こんな古本屋は他にない!とムッシュウのお店のファンなのです。
Commented by 40ansparis at 2016-10-06 17:20
environtuushin さん、お仕事柄もあるでしょうけれど、清潔感大切にされているのですね。
私のしおりは、専らポストカードか姪っ子の小さい頃の手作りのしおり。ポストカードのは、好きなイラストのや、黒猫の、友人から届いた素敵なカードを挟んでいます。新しい本をバッグに入れたはいいけれど、しおり代わりのものを忘れた時は端を折ってしまうのですが、その度にムッシュウの言葉を思います。
Commented by 40ansparis at 2016-10-06 17:27
ihokoさん、私もあまり汚い状態は嫌ですがムッシュウほど几帳面じゃないですねえ。だから平気でページも折っていましたし。
綺麗な状態の本しか買い取りません、と言う古本屋のオーナーもいますが、このムッシュウのプロ意識は、それともまた違うんです。
痛んだものは労り、再生出来る限り手当てする、常に本棚の本を整頓して、、でも作業として整頓している、と言うよりは店にある全ての本と会話しているように見えます。今日も元気か?なんて、笑。大型店のようにそんなに乱れることは無いわけですから、、。ここに慣れてしまうとつい、これが当たり前になってしまうのですが、たまに通りかかった他の古本屋で本を見た時、近所のムッシュウの心意気が分かるのです。
Commented by francana at 2016-10-06 17:27
冒頭の本、美しいですね~
ムッシュウのような人には、いつまでもいてほしいですね。
彼の精神というか感覚を受け継ぐ方はいるのかしら・・・なんてちょっと気になりました。
私は日仏どちらの本も、ポッシュでもわざわざカバーをかけて(笑)、栞をはさむ習慣がありますが・・・
ほかにはない古本屋、店主とお客さんがどんなお話をしているのか聞いてみたくなります。
Commented by 40ansparis at 2016-10-06 17:45
francanaさん、私もムッシュウの後を継ぐ方はいるのかな、と気になるのですが、プライベートの事は存じないのでいつも気になったままです。このムッシュウは良くいるお喋り好きな、自分のうんちくを語りたがる、そういったタイプのフランス人じゃないのです。むしろ控えめで、まずお客様に先に喋らせる、、もし自分のアドヴァイスが必要ならお話しますよ、なんて感じの姿勢なのです。だから余計に威圧感も、古本屋に有り勝ちな重厚感もなく、街角の小さな本屋さんといった雰囲気で気軽に入って行けるのだと思います。大体、お客様は自分の興味ある分野の話をしながら、その分野の本をムッシュウに探してもらい、数冊の本を前に本談義していますね。やはり、こうして見ると掛かりつけのお医者様、ですね。雰囲気も鉄腕アトムの博士みたいな感じなんですヨ。
Commented by BBpinevalley at 2016-10-07 06:16
こんにちは。
凝り性のフランス人らしいお話ですね。
日本で高野山に行ってきたのですが、あちこちからフランス語が聞こえてきました。
バスの案内も、英語の後はフランス語。
お坊さんになった人まで居るのだそう。
ずっと以前、パリで「茶人」と書かれたお店に入ったら、畳の上に着物を立派に着こなしたフランス人男性が深々とお辞儀してくれました。
凝るのもあそこまで行けば立派です。
Commented by 40ansparis at 2016-10-07 15:06
BBpinevalleyさん、日本への旅、アッという間でしたでしょうね。私の知っている人や仕事場のお客様で日本に行って来た、と言う方に何処に行って来たか聞くと、必ず何故か高野山が入っているのです。パリの旅行代理店で必ずオススメするのだそうです。
同じように、今はテロの影響で激減したようですが、ブルターニュのモンサンミッシェルには以前は日本人ばかりだ、とフランス人が不思議がっていました。日本の場合は、以前のような生活様式では無く西洋化していますから、尚更、日本文化、雰囲気をビジュアルでもしっかり感じられる場所が限られいるからなのでしょう。でも、みんな行って来た方々は凄く良かった!と感動していました。フランス人の中にもたまに非常に器用でせんさいな人、いるんですよね〜。着物を着こなして茶人とは、、、!
Commented by sogno_sonyo at 2016-10-08 23:09
素敵な店主さまですね。
アトムの博士みたい?・・御茶の水博士?
まぁ ますます好感持ってしまうわ~。
小さな本ではあるけれど その中には果てしない世界が広がっているのですものね。
その世界の広さを知る人は本を愛おしむように大事にするのでしょうね。
最近の私は老眼がひどくて活字を読むのが億劫でしたが
おかげさまで何か読みたくなりましたよ。
せっかく涼しくなったのだから 食欲ばっかりじゃなくて読書の秋よね。
Commented by 40ansparis at 2016-10-09 05:18
そにょさん、お茶の水博士、でしたね、名前を思い出せなくて。このムッシュウは痩せて居ますし、容姿が凄く博士に似ている訳では無いのですが、たまに白衣を着て店頭で本の整理整頓をしていたりするし、私の中では本屋さんの店主と言うイメージよりも研究者のような博士のようなイメージがあるからなのですよ。写真撮らせて頂いた事があるのですが、その日はエプロンでした。
いつかアップしましょうかね〜。
私も目、始まっています。朝のカフェで開く新聞の文字がぼやけてきて困ります。
秋は気温も程よくなり、読むのと同じくらい食べるのも楽しみですよね〜。
Commented by kanafr at 2016-10-09 11:07
なんていいお話なんでしょう!
素敵なムッシュですね。
日本では、残念ながら、あまりお目にかかった事がないのですが、フランスの本屋さんの方って、本当に本がお好きなんだなあって思わせる博識の方が多いですよね。質問すれば必ず答えてくれますし、作家の特徴や、数々の本の内容だけでなく、作家の歴史や出版のエピソードなどもよくご存じですものね。
でも、このムッシュは、本をお好きというより、愛していらっしゃるんだなあと感じました。
とっても素敵なお話を伺えて、ラパンさんの至福の時間を分けていただいた感じです。有難うございました。
Commented by 40ansparis at 2016-10-09 20:22
kanaさん、日本はまず売れる本のジャンルが違うせいもあると思います。日本って純文学よりもマニュアル本や軽い読み物ばかり売れる、、だから本当に深く文学について、クラシック文学でも現代でも哲学でも、、になると教授とかの専門的な方ばかりになってしまう、、、。庶民レベルでも文学に対しての意識や語る文化があるフランスを見ていると、残念だけど全然違うと感じます。
このムッシュウ、まさに仰る通り、本好きと単に言うよりもっと深〜い愛情に溢れているのです。この出会いにはとても感謝している日々です。
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