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un ete japonais:日本映画を想う夏

昨年の夏は黒澤映画の回顧展があり感動。

今年は、ヴィスコンティと並んでフランス人にも人気の小津安二郎を中心にセレクトされた古き日本映画の回顧展が。嬉しいですね~。
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只今ヴァカンスの真最中、一番パリジャンがパリに居ない時期。空いているだろうとギリギリに出掛けたところ、、、なんと長蛇の列に超満員!

自分の都合と合う作品しか観ることが出来ていませんが、かなり感動しています。
他にも今村昌平監督、吉田喜重監督、溝口健二監督、そしてもちろん黒澤明監督の名作ばかりが。観たくてもなかなか自分の自由になる時間と合わなくて悔しい限り。

小津さんの映画は、兎に角美しい~!ヴィスコンティなどの巨匠たちにも共通して感じる独特の確固たる美意識。
完璧主義で俳優にも自由な演技をさせずに、表情や仕草全てコントロールした小津監督。
従って、時に不自然な演技に見えるのが気になるのだけれど、日本語や映像の色合いの美しさを前にすれば、小さいこと。
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簡単に訳されたフランス語の字幕を目で追いながら、あ~このことばの美しさは訳せないのよねえ、と独りで悦に浸り。

大島渚監督は、小津監督とは対極の異端児。
フランス人が好きなエロティシズムに溢れていて斬新、まるでヌーヴェルヴァーグのフランス映画を観ているよう。私は好き。

感動して独り映画館を出る時に3人のフランス人マダム、ムッシュウに声をかけられました。
"何度観ても素晴らしい!"
"台詞が素晴らしい。ポエティックで"
"オズの映画はエモーションに溢れていて感情表現が繊細、美しいね~!"
小津映画について語りたくて止まらないムッシュウ、マダム達をどうにかヤンワリ振りきれたのは20分後。

日本ででさえ、もう映画館でこの時代の映画を観ることなんて出来ないんですよ、今は、、、と私が話すとフランス人小津ファンの皆様、何故⁇とまた語り始めて、、。
恐るべしフランスの小津ファン。日本人よりもずっと映画を見込んでいます。

フランスは日本映画のみならず、世界の古き良き映画をリスペクトして、一大論争を巻き起こしたような問題作でさえ上映したりと、映画を本当に愛していると言うのに、、。
日本も興行収入が取れる大型映画ばかりでなく、こういった上映をすればいいのに。
映画作りを目指す若者は何を観ればいいのかしら?

"フランスと違って日本は、映画作りに関わっている人達が映画だけで食っていけない国なんだ、、"と、たけしさんが以前悲しそうに語っていたのを思い出しながら帰りました。
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by 40ansparis | 2012-08-18 19:52 | cinema | Comments(14)
Commented by くま at 2012-08-19 20:25 x
日本でもこんな形で映画に触れる機会があったらいいのに。
いろいろな人に、いろいろなことを知ってもらえると思います。
日本の良さってたくさんありますね。
そうなんです、九州に住んでいます。
今日はスコールのような雷と強い雨が。
九州は熱帯地方に変わったのかな、と思うくらいです。
Commented by fuki at 2012-08-19 21:34 x
かつて映画を提供する側にいた身の上として、映画を愛する私としては、日本の芸術や文化、スポーツに対する意識の低さに、いつもいつも苛立を感じるのです。かつて日本の浮世絵や陶芸作品などが沢山海外に流失したことなんかも似たようなことからかしら。
でも、パリはいい。日本映画を映画館で見られるってことがすごくいい。不思議なことですけどね。
Commented by Cecile at 2012-08-20 00:49 x
小津監督の作品、未だ見たことが無いのですよ。バンクーバーでも時折黒澤作品シリーズを上映することがあります。グローバル化された現代とはいえ、異なる文化は大切にしたいもの。そして国を超えて味わうことができれば更に素晴らしい。
映画の感動をラパンさんと語り合いたかったフランスの人々、嬉しいですね。
Commented by 40ansparis at 2012-08-20 04:47
くまさん、私が学生だった頃は地方都市にでさえ名画座と言うものが存在していました。なので私は20代の時に沢山、古い映画を観ることが出来たんですよ。当時どの程度まで自分が理解していたか?は分かりませんが、当時の人生経験での理解度でも強烈に印象が残っていたり、また今の年齢で再会してあらためて感動したりして、若いうちにその映画と出会っておいたことは宝でした。
日本の気候、どんどん熱帯化しているのは確実でしょうね。体調お気をつけて。
Commented by 40ansparis at 2012-08-20 04:55
fukiさん、映画を提供する側にいらしたのですか~。
フランスは何と言っても国がきちんと芸術に予算を割いている、そこが違いますね。自ら芸術鑑賞も楽しんで、本気で芸術に予算枠をたっぷり取ろうとしたのは、小泉さんだけでした。だから作品だけでなく、フジタなどの芸術家も祖国を離れる訳ですね。祖国以外の国の方が評価してくれる訳ですから、、悲しいですね。映画を撮り始めた頃のたけしさんが、認められずに屈辱感を味わい、フランスを始め海外で評価され始めたら日本は手のひらを返した、、これも同様ですね。
Commented by 40ansparis at 2012-08-20 05:03
Cecileさん、日本人でも観たことがない人、結構いらっしゃると思いますよ。それだって結局、名画座みたいなところがどんどんなくなってしまったからでしょう。DVDなどで今は逆に古い映画も何でも観ることが出来ますけれど、スクリーンから出るオーラとDVDでは映画の素晴らしさは明らかに違いますからね、、。観たい人たちは絶対存在しているはずなのに。シニア世代も増えていますし。
フランス人は本当に小津映画が好きなんですよ~。
フランス映画って、普通の日常を描いたものが大半だから、それに通じたものを感じるのでしょうね。日本人は、私たちの世代から上でしたら、確実に話し言葉の美しさに感動すると思いますね。
Commented by くま at 2012-08-20 15:04 x
丁寧なお返事ありがとうございます。
名画座・・・いい響きです。
私は映画館がない地域で生まれ育ったので、10代のころは餓えるような鑑賞欲が強かったです。
田舎に育って~っていう劣等感もあったかもしれません。
一町一映画館なんていう法律があればいいのに、って思います。
名画を大きなスクリーンでじっくりと観てみたいです。
Commented by yumibag at 2012-08-20 15:38 x
昔の映画って今よりずっと分かりやすかった気がするのは私だけでしょうか その分感情表現を映像で見る側に委ねる そんな思いをした記憶があります 中学生の頃観た映画こちらではDVDでしか観れないのが本当に残念です(中学生の頃ってスクリーンという雑誌買って洋画にハマっていたんですが・・)そういう意味でもフランスって羨ましいです
Commented by 40ansparis at 2012-08-20 17:34
くまさん、ひとつの町に映画館ひとつ、いいですね。田舎でさえ、今時はみんなDVDで気軽に家でゆっくりと、を好むのかもしれませんね。私も田舎育ちですから、田舎ならではの暮らしのよさも分かりますし、逆にそういったエンターテイメント面の物たりない歯痒さもよく分かりますよ。
Commented by 40ansparis at 2012-08-20 17:39
Yumibagさん、そうかもしれません。昔の映画って小津さんのもまさにそうですが、いつも平凡な家族間の物語なんですが、発せられる台詞に考えさせられたり、独特の間があったりして繊細です。今の年齢で観ることが出来たらからまた思うことがあるのかもしれません。20 代の頃はなんとなくただ観たいものを観ていたので、果たしてどこまで深く理解していたのか、、。本もそうですよね。映画雑誌スクリーン!私も大好きでした。
Commented by sahobo at 2012-08-20 20:00
こんにちは。
こちらも週末はとても暑かったです!
小津作品、私もあまり見たことがなかったのですが、彼が(映画好きフランス人らしく?)発売されているほとんどの作品を持っており、見ることが出来ました。
古きよき日本と言ってしまっていいのかわからないけれど、映像、台詞、人々のたたずまい・・・とても好きです。特に女性の表情、言葉使い、動き・・・品があってエレガント。
なんでもない場面に涙が出そうになったり。ちょっとした風景も昔でありながら、今の日本ともかぶることもあったりして、知らない時代なのに懐かしく思ったり。
常にこういった作品を上映しているフランス、さすがに映画大国ですね。
そういえば、今L'élégance du hérissonを読んでいます。
英語で、ですが・・・。(ただ今フランス語にうんざりしていて・・・笑)
好きかどうかと言われると微妙ですが、これにも小津作品、やっぱりという感じで出てきますね・・・。
Commented by kanafr at 2012-08-21 09:17
東京物語..って好きな映画です。原節子さんの話される言葉を聞いていると、日本語ってこんなに綺麗な言語だったんだって思います。
笠智衆さんって、東京物語の時背中に座布団を入れて年取ったイメージを作ったそうですね。
溝口健二監督の西鶴一代女もこちらのTVで見ましたがよかったわぁ。

本当にこういう芸術というものを守る意識が、小泉さんだけで終わってしまい、後にも先にもそういう意識を持った政治家が生まれてこないのが本当に残念ですね。
Commented by 40ansparis at 2012-08-21 14:25
Sahoboさん、わあ、小津映画の殆どをお持ち!いいですね!
そちらにも小津ファンの方がいらっしゃいましたね、笑。
自分の世代はまだあの映画の時代に重なるような原風景がたくさん頭の中で蘇ります。日本の夏の、日本の家や家族、お茶の間など、、、。自分の年齢がある程度いってから観る方が感動しますね。
それからhérisson 、フランス語の本の場合はあの女の子が語る部分が難解な哲学書のようになっていて、さらにかなりその部分が多くて読みづらい本でした~!単語を調べて分からない単語がなくなっても何を言っている文章か分からないと言う、、、笑。私は個人的に思うのは、珍しくあれは映画化が原作よりも数倍成功した稀な例だと思いますね。映画を観てから読むとまだ進行先が分かっているので。でも本はちょっと難解かな、やっぱり。英語で読むと逆にどう感じるのでしょう?
Commented by 40ansparis at 2012-08-21 14:41
kanaさん、東京物語はフランス人に一番人気が高いらしいです。私が今回観る事が出来た中でも一番行列していました。あんなに日本人の郷愁をそそる雰囲気の映画にフランス人も共感するのが、不思議にも思えます。マルセルパニョールの物語にフランス人は古き良き時代のフランスの郷愁を感じるのだと聞きますが、経験した時代や国でなくても共通した何かを感じるのでしょうね。
笠智衆さんは素晴らしい俳優さんですよね。あの背中には座布団が入っていたのですか?!凄い役者根性。。
元首相の小泉さんは、政界では周りから変わり者と呼ばれていましたけど、私からみたら彼の方が普通じゃない?と感じます。彼は本気で、芸術大臣のポストを設置してしっかり予算をかけようとしていたんですよ。学校のお勉強は良く出来る政治家ばかりで、そういった引き出しの多い政治家はいないですね、、。
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